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古事記 終 第4回 古事記の正体とは

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NHK 100分de名著
古事記 終 第4回 古事記の正体とは

この国の成り立ちが記された物語、古事記…前回、オオクニヌシが出雲の国を築く様を高天原から見ていたアマテラスは、その国を自らの子孫に譲るよう迫ります。…『国譲り』 です。

地上を支配するためアマテラスの孫・ニニギノミコトが降り立ったのは、日本列島の南・日向の国、この地で後の初代天皇が誕生します。

古事記最終回…謎に満ちた歴史書の正体にせまります。

立正大学教授 三浦佑之
『… 前回までは出雲が舞台でしたが、今度は南九州、宮崎から鹿児島にかけて日向と呼ばれるところがあります。…ここを中心に ”日向神話” が展開されます。…』

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沢山のお供を従えは、ニニギノミコト高天原から日向・高千穂峰に下りてきました。地上に降りたニニギは、たいそう美しいコノハナノサクヤビメ木花咲耶姫)と出合います。

妻にしたいと申し出るとなぜか姉のイワナガヒメ(石長比売)も一緒に嫁いできてしまいました。…岩のように醜い姫にニニギは驚き恐れ、姉だけを送り返してしまします。

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すると二人の父である山の神は、娘二人を差し上げたのは大切な意味があったのにと怒りました。…しかしニニギとコノハナノサクヤビメは夫婦となり、間もなく懐妊します。

しかし一度の契りで身ごもった妻にニニギは、「本当に私の子か」 と疑ったのです。あらぬ疑いをかけられた姫は、悲しみ、身の潔白を証明するために産屋に火を放って子を生みました。

もし神様の子でなければ生まれてくる事はないであろうと…この時、無事に生まれた子供が、海幸彦、山幸彦です。

立正大学教授 三浦佑之
『… 高天原から地上に降りてきた…「天孫降臨」 と呼ばれています。アマテラスの孫が降りて来た場所が日向という事になります。

姉妹と結婚する事は古代では稀なことではありません。古代は一夫多妻制です。ニニギの話に限って言えば、美しい妹と醜いお姉さんがいてお姉さんを帰してしまう。

姉=岩石=永遠=岩は不滅、醜いが永遠性を持っている
妹=木の花=美=綺麗に咲くがすぐに散ってしまう、儚さ、短命

どちらを選ぶか問われると人間は美しい花を選んでしまいます。…それが人間の宿命、人間には寿命がある…天から降りてきた神も花を選んでしまったからには、花のようにはかない命になってしまったという神話です。

そして2人の子供が生まれ、海幸彦、山幸彦という有名な話につながってきます。…』

兄・海幸彦は海で魚を獲り
弟・山幸彦は山で獣を獲る

ある日、山幸彦が兄にお互い道具を好感して獲物を捕ろうと持ちかけます。…しかし山幸彦は一匹の魚も釣れずに兄の大事な釣り針を無くしてしまいました。

山幸彦は自分の剣を溶かして500個もの釣り針を作るも兄・海幸彦は許してくれません。困り果てた山幸彦が浜で泣き悲しんでいると潮の神様が現れます。

「海の神・ワタツミの宮に行けば、良い方法を教えてくれるだろう」

そして竹で小さな籠船を作って山幸彦を乗せて海へと送りだしてくれました。…籠船に乗って潮の道をゆらゆらと行くと、やがてたどり着いた国はたいそう美しいところでした。

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山幸彦は愉快な日々を過ごします。海の神の娘・トヨタマビメ(豊玉毘売)を妻に迎え、気が付いたらすでに3年が経っていました。

しかしあるひここへ来た理由を思いだします。その話を聞いた海の神・ワタツミは山幸彦のために全ての魚を集め釣り針を探してくれました。

その上、兄に釣り針を返す時に唱える呪文も教えてくれたのです。日向に戻った山幸彦が言われたとおりに呪文を唱えると、それから海幸彦の竿にはすっかり魚がかからなくなり、暮らしにも困るようになりました。

とうとう兄・海幸彦は山幸彦の元へ行き、頭を地にこすりつけて…「これからは昼も夜もそなたのためにお遣い申そう…」 と誓ったそうだとさ。

立正大学教授 三浦佑之
『… ワタツミというのは海です。海の神様が住んでいる宮殿がワタツミの宮です。

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山幸彦はワタツミの宮へ行って力を付けて戻ってくるんです。…山幸彦の3代後は天皇になります。アマテラスからつながって正当の系譜をもった人なのです。

父・ニニギノミコト+母・コノハナノサクヤビメ=山幸彦が生まれ
父・山幸彦+トヨタマビメ=3代後、カムヤマトイハレビコ(初代・神武天皇

…となるのです。

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この後は、歴代の天皇たちの系譜、出来事などの物語が語られてゆきます。その中でも最も面白いのがヤマトタケルという主人公のお話になるわけです。…』


悲劇の英雄
ヤマトタケル

12代・景行天皇の皇子・オウスは、ある時、父のため裏切り者の兄を殺してしまいます。その凶暴さは父・景行天皇をも恐れさせました。

父・景行天皇はオウスを遠ざけるため、九州クマソの討伐を命じます。…「西の地にクマソタケル兄弟がいる、ヤマトの国のために討ちとってこい」 …それは無謀な命令でしたがオウスは父に認められたい一心で出かけて行きます。

まともに戦っては勝ち目のない相手、しかしオウスは女に化け、クマソタケルを打ち倒します。…使命を成し遂げたオウスは、ヤマトタケルの名を賜り帰還します。

しかし天皇は手柄を労う事もなく、すぐに東に行って蝦夷を討伐せよと命じるのでした。

「父上は、もう私など死んでしまえと思っている」

彼は父からうとまれている事にようやく気が付きました…それでも旅立ち見事東国を平定しますがその帰路で命を落としてしまうのです。

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最後まで父との確執が解ける事はありませんでした。その魂は白鳥となり遥か大空に飛んでいったといいます。

立正大学教授 三浦佑之
『… ヤマトタケル日本書紀にも出てきます。ですが全然違う別人のような形で出てくるんです。

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古事記
名:倭建命(ヤマトタケル
役柄:異端
性格:暴力的
状況:父親に疎まれる

日本書紀
名:日本武尊ヤマトタケル
役柄:正統
性格:忠実な息子
状況:父親に信頼される

日本書紀という正史の中で日本を象徴とする英雄として語られます。天皇の正統な後継者で父・景行天皇にも信頼され、愛されて、亡くなってしまう時も父・景行天皇は嘆いて、 ”生きていれば自分の後を継いで天皇になったのに” とまで言っています。

対して古事記ヤマトタケルは正反対、父親に疎まれ、追い出されてしまい、その関係は最後まで修復されません。

何故かと言うと日本書紀は、正史、正式な歴史書ですから天皇の側に立ってその皇子がいかに頑張ったかが語られたんです。古事記の内容では、正史に書けないという意味合いもあったのではないかと思います。

そもそも日本書紀は、他国に日本の素晴らしさを主張するために編纂されたものですから…目的からして違うのです。…』

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司会 武内陶子
伊集院光
立正大学教授 三浦佑之

 

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