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加速するiPS細胞研究 ~山中教授に聞く実用化への道~

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京都大学IPS細胞研究所 山中伸弥教授)

NHK クローズアップ現代

加速するIPS研究
~山中教授に聞く実用化への道~

京都大学教授の山中伸弥さん…ノーベル賞受賞から1年、IPS細胞は人の治療にどこまで近づいたのでしょうか。
・肝臓
・血液
・網膜組織
…次々と日本から発信される成果に世界も注目、ビジネス化を目指す動きも広がっています。IPS研究は夢の医療にどこまで近づいているのか…その最新報告です。


IPS細胞研究費
国の支援、10年間で1100億円

京都大学IPS細胞研究所、ここは山中伸弥教授が所長を務めています。身体の様々な細胞を作りだす事の出来るIPS細胞は、生命科学の新たな扉を開いたとされます。

ここでは安全性の高いIPS細胞を作りだす基礎研究が行われ、ここぜ作り出された細胞が国内外の研究所に供給されています。

供給された件数はこれまでに602件、この1年で大幅に増えていましてIPS細胞を使った研究の裾野が急速に広がっています。

また難病の患者からのIPS細胞を使って病気が発症する仕組み、病気の原因究明がすすめられ、新たな治療法、薬の開発への期待も高まっています。

IPS細胞は、病気や事故で失った身体の機能を取り戻す再生医療の切り札です…国も再生医療の実現に向け、10年間で1100億円の支援を表明していまして臨床研究を加速させています。


世界初!
iPSから肝臓

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(ミニ肝臓)

培養液に浮かぶ僅か ”5ミリの白い塊”、 世界で初めて人のiPS細胞から作る事に成功した肝臓です。
これは重い肝臓病の患者を治すことが可能です。

開発者の横浜大学・谷口教授はこのミニ肝臓、5ミリという小ささが武器になると考えています…カテーテルを使えば簡単に体内に入れる事ができるのです。

肝硬変、肝不全の治療に活かせるとして、6年後に実際に人の体に入れる計画です。

横浜大学 谷口英樹 教授
「移植用臓器が届かずにお亡くなりになってしまっている患者さんを助ける事が出来るのではないかと考えています。…世界がガラッと変わったという実感があります。」


近づく実用化
iPSから血小板

これまで献血によってしか確保できなかった血液、iPS細胞から作りだし実際に使われる日が近づいています。

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東京大学京都大学の研究者が共同で作ったベンチャー企業・メガカリオンです。血液の成分、血小板を作りだす独自の技術で注目されています。

血液の中を流れる血小板、血管に傷が付くと傷口に集まり、出血を防ぎます。心臓手術、大怪我の治療など医療現場には欠かせません。

しかしこの血小板、壊れやすく採血から4日間しかもたないのです… ”凍結して保存する” 事も出来ないのです。そのため今も綱渡りの供給が続いているのです。

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しかしiPS細胞ですと血小板になる手前の段階で凍結保存が出来る事が発見されたのです。これを解凍して培養すれば血小板が出来るのです。

この技術により、使いたい時に必要なだけの血小板を確保する事が可能になったのです。この技術は投資ファンドからも注目され、10億円の出仕を受けました。

3年後には日米で臨床試験を開始します…その後世界の血液市場に打って出ます。

メガカリオン 三輪玄二郎 社長
「確実なニーズがあるところに、しっかりと供給責任が果たせる形で商品を供給したいと考えています」


iPS実用化
コスト削減への挑戦

iPS細胞を使った世界初の臨床研究進めている、理化学研究所高橋政代プロジェクトリーダーは、来年夏にも患者の目に網膜の組織を移植する予定だと言います。

問題は、2000万円~3000万円という費用、…どうやってコストダウンが図れるかが課題となっています。

iPS細胞から網膜の組織を作るには、熟練した技術者が全て手作業で培養されるのです。完成まで3カ月、繊細な作業を毎日行う必要があり、高いコストに繋がっているのです。

理化学研究所 高橋政代プロジェクトリーダー
「コストを減らさないとたくさんの人に治療するのは難しい…期間短縮、コストダウン、たくさんの細胞を作るシステムを作らなければいけません」

コストダウンのために産業界との連携が始まっています。技術者の熟練した技を自動化できないかと考えました。

最適な力のかけ方など数百というポイントをロボットに覚え込ませています。

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細胞の安全確認作業も自動化によるコストダウンを進めています… ”網膜とは別の細胞に変化していないか” 現状では熟練の技術者が顕微鏡で覗きこみ、人による高度な判断に頼っている為、自動化は簡単ではありません。

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解決策は、 ”顔認証技術” 監視カメラに映った1万人以上の人の中から、特定の人を見つけ出す画像解析の最新技術です。

こうした取り組みによって1人当たりのコスト100万円以下を目指しています。
 
ヘリオス 鍵本忠尚 社長
「要素は全て揃っています。日本の会社の技術は優れています…やれるところまでやりつくします」


山中教授に聞く
iPS実用化の課題

人への臨床研究のめどは?…
加齢黄斑変性(網膜):来年
パーキンソン病:3年
脊髄損傷:4年
ミニ肝臓:6年

京都大学IPS細胞研究所 山中伸弥教授
「… 肝硬変、肝不全で亡くなっている方が現在たくさんいます。ミニ肝臓の臨床研究は6年後です。 『もう少し早く始まらないのかな』 と言うのが率直な意見です。

こうして待っている間にも患者さんが亡くなって行ってます。 『他に治療が無いんだ』 という方が現在進行形でいるようなものに関しては、…

①先端医療を早く届ける科学者の技術
②規制当局の柔軟性
③社会がまだ完成していない技術だけれども、これをしないと亡くなる方には例外的に先端医療を認める、まだリスクがあるのは分かっていて認めるという社会の容認
…こういったものが必要です。

自分たちの科学が患者様のためになって欲しいというのが本当の願いです。世界中のいろんな人の力を借りて、それが実現すればいいなと思います。…」

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国谷裕子 山中教授)

 

 

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