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旅行会社の元社員が書く旅日記です…観光情報、現地の楽しみ方、穴場スポットなどを紹介します。

太陽系の歩き方 惑星の王木星 ~発見!驚異の大宇宙~

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NHK コズミックフロント ~発見!驚異の大宇宙~
太陽系の歩き方 惑星の王 木星

アメリカ・フロリダ州にあるNASAケネディー宇宙センター…1961年のマーキュリー計画以来、ジェミニ、アポロ、スペースシャトルと50年以上にわたって人類はここから宇宙へと旅立ちました…まさに宇宙への玄関口です。

21世紀に入り、火星へ、木星へ、そして冥王星へと探査機が向かいました…現在太陽系を旅する探査機は20機以上、今は太陽系、大航海時代です…人間に代わって探査機たちがコズミックフロントを切り開いていきます。

木星は、英語でジュピター…ローマ神話に登場する神々の王の名前です。…その大きさは群を抜いています。…太陽系の惑星を全部飲みこんでもまだ余裕があります。

カルフォルニア工科大学 地質惑星科学科 アンディー・インガソル教授
「太陽系最大の嵐・大赤斑は、地球よりも巨大です…木星では全てが大きいのです」

NASAジェット推進研究所 トーレンス・ジョンソン博士
木星の体積は、地球の1000個分、しかし密度は小さくガスで出来ています」

成分は、…
水素:90%
ヘリウム:10%
…その為、大きい割には動きは軽やかです。木星の1日は、僅か10時間…猛烈なスピードで自転しているため赤道付近が膨らんでいます。

太陽系の王、木星…王様の庭は、込み合っています。60を超える衛星が木星の奏でる重力という音楽に合わせて踊っています。…更に薄い環も飾り付けられているのです。

木星の存在感は絶大です…その大きさには、旅慣れたビジネスマンですら驚くほど、飛行機で地球を一周するには2日間かかります。…木星の場合は一周するのに3週間、少なくとも50回の給油が必要でしょう。…しかも木星には、着陸する場所がないのです。


FRONT 1
行き方

1989年に打上げられた探査機ガリレオの旅は、14年間も続きました…木星に到達できるスピードになるまでに3年もかかりました…木星は火星の3倍も遠くにあるのです。

木星まで4億キロのところで木星の重力圏に突入します…やがて木星の磁気圏にぶつかります…ここから先は太陽系で最も危険な地帯、木星の磁気圏では並みの防護服は役に立ちません…警告を無視して立ち入れば人間だけでなく、電子機器もやられます。…丸焼けです。

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木星の磁気圏の内側に入ると強烈な放射線に晒されます…木星の磁気圏は広大で土星軌道の近くまで広がっています。

1979年代初期、木星の磁気圏は、NASAにとって大きな問題でした…1973年に初めて木星を訪れた探査機パイオニア放射線の強さを図るのが主な目的でした…計器が狂ったりしたもののパイオニアの成果は、その後の探査機に活かされます。

木星放射線は、予想以上に強烈でした…次の探査機ボイジャーでは、防護シールドを強化して強烈な放射線に備えたのです。

探査機ボイジャー1号、2号が1979年に木星を訪れた時、謎は更に深まりました…
ガスの塊なのになぜ磁気を生み出すのか?…
火山だらけの衛星の隣になぜ氷の衛星があるのか?…
木星の雲の下には、何があるのか?


FRONT 2
気候

その謎に迫るのが探査機ガリレオの任務でした…1995年、地球を旅立ってから6年後に探査機ガリレオ木星に到着、…。

木星は気象学者にとっては夢の場所です…ジェット気流の帯が秒速150mの速さでまったく逆の方向に吹きます…強烈な稲妻が走り、サッカーボールほどの氷が降ります。

この荒々しい木星の天気には意外な一面があります…木星の天気予報は地球よりも確実です…大赤斑を撮影するには3週間先の嵐の進路を予測する必要があります。

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地球の嵐では、そんなことは不可能ですが木星では簡単です…大赤斑は予測通り振舞います。…1665年に発見された大赤斑、この嵐は、ハリケーンというより、川と川の間に挟まれた巨大な渦巻きのようです。

高さ8キロもある大赤斑、その特徴は赤い色です…しかし赤い色について科学者は説明を付けられないでいます。…それと嵐が300年以上も続くはずがないのです…しかし間近に観察してもやはり嵐でした…いつまで続くのか、これも全くの謎なのです。


FRONT 3
歩き方

木星の内部に突入しましょう…探査機ガリレオを飛びこませます。…探査機本体から降下機を切り離して内部に突入させました…弾道ミサイルです。

木星のとてつもない重力に引っ張られてとんでもないスピードまで加速しました…突入速度:162,00㎞/時、地球に落ちてくる隕石ですら火の玉になります。

数分後、降下機はパラシュートを開き、時速100キロまで減速、更に下降していきます…雲に突入、木星の雲はとんでもない異臭を放っています。

木星の雲を形成しているのは水素とヘリウム…そしてアンモニア硫化水素です…腐った卵の匂いがします…その下に水があります。…水蒸気は巨大な積乱雲と稲妻を作ります。

さらに降下、温度が上がり気圧も上がります…その先は延々と続く空間を奈落の底へと落ちてゆきます…雲を抜けて150キロの地点で信号は途絶えました。

この英雄的な突入によっても木星全体からしてみれば、ほんの薄皮1枚だけです。…更に奥は推測するしかありません…木星には硬い地表はありません…雲の遥か下に降りると水素ガスが圧縮され、熱い液状に変化しているはずです。

更に中心部は、水素が超高温、超高圧のため原子から電子が離れ、自由に動き回るようになります…想像を絶する世界です。…この電気を通す液体の水素が木星の強力な磁場を生む秘密なのでしょう。

木星の中心部は、金属のような液体水素が煮えたぎり、それが地球の2万倍という危険な磁力を作り出していると考えられているのです。


FRONT 4
木星誕生の頃へ

46億年前、ガスや塵で出来た巨大な円盤がありました…やがてガスや塵は互いの重力で引き付けあって成長し、惑星誕生となります。

木星は、僅か数10万年ほどで現在の大きさに成長したのです…この成長スピードは地球の10倍以上です。

木星土星、この2つの大きな惑星によって太陽系は安定しているのです…木星は文字通り太陽系の王様で太陽系の形を決めた重要な天体なのです。

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FRONT 5
ガルレオ衛星

1995年、降下機が雲の中に消えた頃、探査機ガリレオ本体は、衛星イオをかすめ速度を落として木星を周回し始めました。

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イオは月と同じくらいの木星の衛星です…ピザのような色をしたこの衛星は、ガリレオが見つけた4つの衛星の中で最も木星近くを回っています。…衛星イオでは無数の火山が火をはいています…イオは訪れる度に新しい顔を見せます。

イオの驚異的な火山活動は木星の重力が原因です…イオ全体が木星の巨大な重力によって伸び縮みします。…木星と最も接近するときと離れる時では、イオの赤道の標高が100mも変化します…それが来る日も来る日も続くのです。

危険な木星圏に一か所だけ安全地帯があります…衛星ガニメデです。地球のように磁場を持っています…磁場に守られたガニメデでは、消える事のない壮大な木星のオーロラを楽しむ事ができるでしょう。

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地球のオーロラの100倍もの大きさです…ガニメデから見る木星のオーロラ、最高の眺めでしょう。…他に生命のいる可能性のある-100度の氷の衛星エウロパ、クレーターだらけの衛星カリストなども観測しています。


宇宙の掃除屋、木星
1994年7月、シューメーカー・レビ第9彗星は木星に吸い寄せられるように進んでいました…時速20万キロで木星に激突、衝突後、木星の表面には地球ほどの黒い跡が残りました。

更に2009年、再び天体が衝突しました…オーストラリアのアマチュア天文家がその巨大な衝突の跡を発見しました。…太平洋ぐらいの大きさです。

木星がその強い重力で太陽系の小さな天体を引き寄せている事が実証されたのです…木星は太陽系の掃除機です…木星が巨大な彗星を吸い寄せなければ、地球は50年おきに彗星に打ちのめされ、地球生命は絶滅していたでしょう。


FRONT 6
新たな旅立ち

2003年、探査機ガリレオは燃料を使い果たし、14年間の長い旅を終えました…環境を汚さないようガリレオは自ら軌道を外し、木星内部へ突入…そのまま燃え尽き、木星の一部となって全ての任務を終えました。

一方、地球では次の旅に向け、着々と準備が進められていました…NASA木星探査機ジュノーです…2011年8月に地球を旅立ったジュノー…木星到着は、5年後の2016年7月です。

一方、日本でも木星への探査が計画されています…風の代わりに太陽の光を帆に受けて進む宇宙ヨット、ソーラーセイル「イカロス」です。…実証機イカロスは、宇宙でのソーラーセイル航行に世界で初めて成功しました。…このソーラーセイルで木星に探査意を送り込もうというのです。

JAXA イカロスプロジェクトマネージャー 森治 准教授
木星圏というのは、非常に遠いので沢山の燃料が必要です…しかしソーラーセイルは燃料を必要としないため、遠くの探査には有利なのです」

日本の探査機は、2020年代木星到達を目指しています。…更にヨーロッパ宇宙機関も衛星エウロパとガニメデに探査機を送る計画です。

木星内部の構造を詳しく調べることで木星が何時、どこで生まれたか明らかにしようとしています…太陽系最大の木星の秘密を解く事が出来れば、太陽系誕生の秘密も明らかになる事でしょう。

 

 

 

 

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