旅cafe

旅行会社の元社員が書く旅日記です…観光情報、現地の楽しみ方、穴場スポットなどを紹介します。

ディープピープル「スーパー指揮者」

f:id:tabicafe:20200401165443j:plain

NHK DEEP OEOPLE ディープピープル「スーパー指揮者」

小林研一郎(71歳):一度舞台に立つと情熱的なタクトさばきを見せる小林さん・・人呼んで『炎のコバケン』クラシックの本場、ヨーロッパでも絶賛されるにほん指揮会の重鎮です。

 

f:id:tabicafe:20200401165434j:plain

広上淳一(53歳):若手指揮者の指導に情熱を注ぐこの人物は、日本と欧米を渡り歩く実力派です・・広上さんが世界にその名を轟かせたのは、1984年(26歳)オランダで開かれたキリル・コンドラシン国際指揮者コンクール優勝がキッカケでした・・以来、個性的な音楽解釈でオーケストラを導く奇才としてクラシック界の最前線で活躍しています。

 

f:id:tabicafe:20200401165422j:plain

下野竜也(41歳):次の世代を担う逸材として期待されています・・楽譜を徹底的に読み込み音楽の確信にまで迫る俊英・・去年、病に倒れ演奏会降板を余儀なくされた小澤征爾の代役として指名されたのが下野さんでした・・大抜擢に渾身のタクトで応えた下野さん、演奏会を見事成功させ一躍世界の注目を集めました。

100人を超えるオーケストラを束ね、タクト1本でドラマティックな音楽を生みだす指揮者たち・・各世代を代表するスーパー指揮者3人が集結・・謎に包まれたクラシック界の秘密を語りつくします。


テーマ1 オーケストラの掌握術
指揮者は楽譜を読み込み、思い描いた音楽をオーケストラで実現させます・・その為に重要となるのがリハーサルです。

通常は3日間、合計10時間ほど100人を超える1流の演奏家一人一人から最高の音を引き出さなければなりません・・もっとも指揮者の手腕が問われる場面です。

小林研一郎(71歳)
「オーケストラの気持ちの中に自分が入って行って、そして作曲家の行間までオーケストラがそのまま走ってくれるような世界ってどうやったら築けるんだろうっていつも思ってしまってただもがいているのかもしれません」

下野竜也(41歳)
「こうして欲しかったのにそうじゃない方向に行ってしまった事ありますね・・初対面のオーケストラは特にです・・自分の目指す方向じゃない・・で言った・・更に違う方向に進むなんて事、よくあります・・それをどう戻すかですね」

「ベテランのオケの方にこう言われた事ありますよ『僕達は、君より遥かに良い指揮者でこの名曲を遥かに良い演奏をした経験があります』って言われた事ありますよ」

広上淳一(53歳)
「このままだとこのオーケストラは絶対いい方向に行かないと、ガーっと怒ってしまってオランダのオーケストラと仲たがいになったことがありますが今は後悔しています・・今のこの年だったらもっと違うアプローチをしていたと思います」

「この歳になって何が生きてきた中で反省する事があったかと言うと、若い頃って自分が思ってる事をオケのメンバーも思ってくれているだろうというところから出発しているもんだから頭にきたんだろうなという自分の自己分析が年を重ねるとともに出来るようになりました」

「まず自分という人間がどういうものなんだという事をわかってもらうためには、結構時間がかかるぞと少しずつわかってきました・・行き違いがあってもコミュニケーションが出来るようになりました」

 

f:id:tabicafe:20200401165452j:plain

テーマ2 指揮棒へのこだわり
たった1人でオーケストラの音色、リズム、音量を束ねる指揮者・・この重責を果たすために指揮者、ディープピープルは強いこだわりを持っています。

小林研一郎(71歳)
「折れちゃうんですよ・・指揮台の角に当てて折れて飛び散ってしまった時は泣けました・・床に落ちている破片を集めてテープで補修したものです・・この感覚が何ともいえないんです・・この振り下ろす0.0コンマいくつかの感覚を思うとこれじゃ無きゃだめなんです」


テーマ3 開演直前のリラックス法
下野竜也(41歳)
「変な夢を見ますよ・・自分が振っていたらいきなりオケの人が立ちあがって『お前の指揮なんかわかんねえよ』とかいって・・しかもそれが本番なんですよ・・・(笑)」

小林研一郎(71歳)
美空ひばりが好きです・・悲しい酒の『飲ーめーばかーなしーき』とかのあの抜き方と間合いとポルタメントと次に中々いかないその間隔ってクラシックの勉強に凄く良いなって思います・・ああいう演歌の方をもっと回りの人が勉強すべきだと思います」
ポルタメント=ある音から別の音に移行する際、滑らかに音程を変える技法


テーマ4 究極のベートーベン演奏
小林研一郎(71歳)
「ベートーベンの書いた音楽を僕たちはまだ実際には聞いた事がないのではないか・・楽譜に表わす事の出来なかった空間に行間に彼は、絶対的な無限の宇宙を書いているに違いない」

「・・だから僕たちはそんな小さな事にこだわらないで、もう少し大きな次元から楽譜にこだわらない楽譜を超えた、楽譜の裏にあるもの・・バージョンなんて関係ない、自分のあらゆる知恵をしぼって・・ひょっとしたらこの音が違うんだったらやめてしまってもいいと思うんです」

下野竜也(41歳)
「正しい正しくないと本当に決められる人がこの世にいるのか・・ベートーベンに会ってみたい、会って聞きたい・・同じ楽譜なのに3者3様違ったり、僕はベートーベンぐらい大きい人だったら ”違う!” とは言わないと思うんですよね・・あんまりにも違ったら『チョット来い』って言われるかも知れませんが…」


スーパー指揮者 「第9」指揮対決(東京フィルハーモニー交響楽団 協力)
1番手:下野竜也(41歳)・・楽譜に忠実なテンポ

2番手:広上淳一(53歳)・・楽譜に忠実だが決めどころで微妙に伸縮するテンポ

3番手:小林研一郎(71歳)・・一つ一つの音を伸ばして非常に遅いテンポ・・もう一つ重要なのが一カ所楽譜に無い ”間” を入れているところです。

下野竜也(41歳)
「小林先生が最後になさったタターンの前に時間をとっていらっしゃるじゃないですか・・反論はしないんですが楽譜に無いじゃないですか」

f:id:tabicafe:20200401165509j:plain

下野さんが指摘したのはこの部分、音符と音符の間には、テンポを変える指示はありません・・しかし小林さんは独自の解釈でテンポを落としてタメを作りエンディングの効果を高めたのです。

下野竜也(41歳)
「書いてないけどそれをされるってわかると思うんです・・そうしてもう一回、ダダーンとテーマをきちんと提示するって事で記録によるとマーラーもそうしたってのがあるらしいんですね・・ここ100年ぐらいのマエストロ達もここの処理に悩んだでしょうね」※グスタフ・マーラー(19世紀の作曲家)

小林研一郎(71歳)
「チョットのびるかなと・・最後の大段宴なので一番伸びてみようかと・・その後の金管の盛り上がりまで持って行ければなと思うんです」

下野竜也(41歳)
「この伸ばすところって自分もやってみようかな、やらない方がいいのかなって正直、いつも、いつも悩むんですよ」

広上淳一(53歳)
「やっぱりレシピなんですよ・・今、小林先生が作られたのは小林シェフの一つの世界のソースなんですよ・・あとは演奏の細かな料理人達が一個一個、音を作るまでの想いとかの蓄積、彼は楽器を習得するまでに地道な長い練習があった年月は一言では語りつくせません」

「そういう人たちが料理を作る、音を出す訳ですから・・最後は小林先生が作られたように音を活かしてお皿に出すとかというところが僕らの仕事なんじゃないかなと思います」

f:id:tabicafe:20200401165500j:plain

テーマ5 指揮者に必要な能力とは?
広上淳一(53歳)
「ある時期から10年ぐらいたつと痛い傷に塩を塗り込む楽しさを覚えて、わざと自分でもっと痛くしようなんて思う事無いですか」

下野竜也(41歳)
「指揮者に必要な能力はMでしょう・・最近、僕はまだ若いんですけど学校で教えたりする事があるんです・・生徒さん達を見て打たれ強い人っていいなって思いますね」

「打たれても、打たれても本当に音楽がやりたい指揮台に立ちたいという気持ちがある人の方がいいかなって思いますね」

小林研一郎(71歳)
「指揮者の能力のテーマで話すなら・・耐えて、諦めない・・それかも知れませんね」

■今回もディープな話でしたね・・これからクラシックを聴く時、指揮者の名前を確認してから聴くようにします。