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作家・福井晴敏が薦める一冊は、高村薫著『神の火』

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WBS ワールドビジネスサテライト
スミスの本棚

 

作家 福井晴敏
著書:『亡国のイージス』『終戦のローレライ』『人類資金』

作家・福井晴敏が薦める一冊は、
高村薫著『神の火』
原子力発電の開発に携わり、かつて極秘情報をソビエトに流していた主人公・島田…スパイ活動と訣別して、平穏な日々を送っていた彼が、原発の国際諜報戦に巻き込まれてゆく超大作です。

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「プロフェッショナル信仰は日本では強い、自衛隊原発で働いている人に対して、 ”プロだから何とかしてくれるだろう” …でも本当はそこにいる人も我々と同じ人間でしかない。普通の日常の延長戦で国際諜報がある」

島田の回りに集まってくるのは、過去を背負った孤独な者たち、彼らとの関わりの中で、自分が背負い込んだ原発開発という過去に決着を付けようとする様を描きます。

森本智子キャスター
「この小説、孤独な人が、出会って心を心を重ね合わせて行く、心の動きの描写は抜群ですよね」

原子力は、人間に
どれほど必要な代物だったというのか、
そう思い至ると、
島田は回復不可能も懐疑の闇に陥った。
高村薫著『神の火』)

作家・福井晴敏
「孤独だな…何でだろう。自分にとって生きづらい世の中をどう自分で受け止めて落ち着かせるか、作り手の原点があります」

森本智子キャスター
「そこに気付かせるために、一緒に読者を巻き込みながら考えさせて自然にたどり着かせてくれた」

原子力は21世紀の智恵か
その問いに、胸を張って
エスと答えられなくなったときに
この自分の人生の終点が来たというのは、
偶然にしても、よかったと島田は思った。
高村薫著『神の火』)

そして島田は、計画なき原発襲撃へ向かって行くのです。

作家・福井晴敏
「普通しない事を最後にするじゃないですか…そこに救済を求めるの?…生きてきた事に対してけじめを付ける、決着をするというのを、考えて考えて考えつめて書いたとしたら、自分も全く同じ…」

福井さんはこの本に出会っったことで小説家として物事を追求する見方を学んだといいます。

作家・福井晴敏
「作品を読んだ人、見た人に何かの突破口を提供するもの、精神的な救済は得たと言われるように描きたい」

 

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解説
高村薫著『神の火』が書かれたのは1991年なのでチェルノブイリの事故を受けての作品です。ただ我々も読むとドキッとするくだりがあります。

著者の高村は、ものすごい量の主材量に裏打ちされた作品が多くてそういった取材姿勢も福井さんは刺激になったとおっしゃっていました。