神々が宿る国 出雲
今回は、神話の国、出雲の出雲大社をご紹介いたします。
皆さん、「いずもたいしゃ」と呼んでますが、正式には「いずもおおやしろ」が正解なんです。…でも一般的な呼び方の ”いずもたいしゃ” で全く問題ありません。
出雲大社(漢字で書いたけど、心の中では「いずもたいしゃ」…笑)を楽しむため、理解するためには、 ”大国主命”(オオクニムシノミコト)を知る必要があります。
出雲大社には、沢山の神々が祀られていますが、その中心的な神様が、地上では最高位の神様、主祭神の大国主大神なんです。
皆さんご存知の、 ”因幡の白兎” は、古事記の神話なんです。
小さな島に住んでいた兎は、本州に渡りたくなりました…
兎:「鰐さん、鰐さん。兎と鰐、どっちの数が多いか競争しましょう」
鰐:「面白い…やってやる」
兎:「(しめしめ…笑)じゃ海に並んでください…僕が数えます」
鰐は兎の言う通り、島から出雲に向かって一列に並びました…
兎は鰐の背を跳んで行きます…
兎:「1匹、2匹…101匹、102匹…(後は適当でいいや…)897匹…」
出雲まであと僅か、あと1匹です…
鰐:「どうだ、やっぱり鰐の方が多いだろう」
兎:「数なんか数えちゃいないよ…お前らを騙したのさ…へへん…」
鰐:「貴様!…」
兎:「ひー…」
という事で鰐に皮を剥かれて真っ赤に腫れあがった兎を助けたのが、大国主命だったんです。
国譲りのお話し
大国主命は、兎を助けた後、兄達に2回も殺されて復活して、6代遡る先祖である須佐之男命(スサノオノミコト)に助けを求めに行くんですが、須佐之男命の娘に恋をしてスサノオに殺されかけたり、いろいろあったんですが、出雲に帰って国づくりに専念します。
この国造りを海からやって来て助けた神様が「大物主神(オオモノヌシノカミ)」です。
大国主は、出雲の国を見事、発展させました。
その様子を天上界の高天原で皇室の祖先神である、最高神の天照大神(アマテラスオオミカミ)が見て言いました…
アマテラス:「何かいい感じで地上界がまとまって来たわね」
他 の 神 々:「そうですね…大国主は、よく頑張りました」
アマテラス:「違うでしょ!」
他 の 神 々:「へっ…?」
アマテラス:「スサノオの子孫が、地上界を収めてるのが気に入らないのよ」
他 の 神 々:「はあ…」
アマテラス:「その国、私がもらい受ける」
他 の 神 々:「えー…」
…という事でアマテラスの刺客が地上に放たれたんです。
刺客その1:「大国主さん、アマテラス様の刺客です。国を譲ってもらいましょうか」
大国主命:「そうですか…まあ、ゆっくり国を見ていってください…ご案内します」
3年後…
アマテラス:「あ、そうだ…この前放った刺客はどうなったの」
他 の 神 々:「なんか…嫁さんもらって幸せに暮らしているみたいっすよ」
アマテラス:「ダメじゃん…まったく…再度、刺客を送りなさい!」
他 の 神 々:「了解!っす」
8年後…
アマテラス:「ちょっと……私、刺客送ったわよね」
他 の 神 々:「はい」
アマテラス:「何年たった」
他 の 神 々:「8年っす」
アマテラス:「長くない?」
2度目の刺客も大国主に懐柔されていたのでした。
完全に頭にきたアマテラスは、自ら最強の刺客を差し向ける事にしたのです。
アマテラスが指名したのは、鹿島神宮の神様、戦いの神、武の神、タケミカヅチ(建御雷)を地上へと派遣したのです。
ブン!…と、地上に降りたタケミカヅチは、海に剣を差し、その切っ先の上に胡座をかくと…
建御雷:「お前が大国主か、建御雷だ…この国もらい受ける」
大国主:「(お!…今回は強そうだな)まあ、お茶でもいかがですか…」
建御雷:「ふざけるな」
大国主:「(ダメか…)」
大国主は、「自分は引退したんで息子と話してください」とし、建御雷に息子が挑戦するんですが…格が違う!
とうとう大国主は国を譲る事を決意します…
大国主:「アマテラス様に国をお譲りしましょう…でも、一つ条件があります」
建御雷:「なんだ」
大国主:「私が引退後に住む、天まで届くような大きな社を作っていただきたい」
建御雷:「わかった…いいだろう」
という事で国譲りが成立したんです。
めでたし、めでたし…完
出雲大社と…
日本最古の歴史書「古事記」
長々と国譲りについて書きましたけど、出雲大社を語るには、この国譲りが非常に重要なんです。
古事記に出てくる、この国譲りは…
「大和朝廷が、当時、出雲で栄えていた国を攻略して従えた事を表わしている」
…と分析する研究者が多いのです。
管理人の考えは…
第1回遠征軍:大和朝廷の最初の出雲遠征軍は、撃退される
第2回遠征軍:3年後、再度、出雲遠征軍を派遣するも、再度失敗する
第3回遠征軍:さらに8年後、最強の軍団を組織し、ようやく攻略する
…って感じじゃないですかね。
実は、古事記を証明する遺跡が出て来ちゃってるんです。
大量の刀剣が出雲で発掘されているんです。
それと、平成12年から13年にかけて、出雲大社境内遺跡からスギの大木3本を1組にし、直径が約3mにもなる巨大な柱が3カ所で発見されました。
これは、そのうちの棟をささえる柱すなわち棟持柱(むなもちばしら)で、古くから宇豆柱(うづばしら)と呼ばれてきたものです。境内地下を流れる豊富な地下水のおかげで奇跡的に当時の姿をとどめて出土しました。
直径が最大で約6mもある柱穴には、人の頭の大きさかそれ以上の大きな石がぎっしりと積み込まれ、世界に例のない掘立柱の地下構造も明らかになりました。柱の配置や構造は、出雲大社宮司の千家国造家(こくそうけ)に伝わる、いにしえの巨大な本殿の設計図とされる「金輪御造営差図」(かなわのごぞうえいさしず)に描かれたものと類似しています。
刀剣に関しては、出雲には、巨大な軍事力を持っていた王朝、政権が存在していた証拠です。
出雲大社境内から出土した巨大な柱は、大国主が建御雷にお願いした「天まで届くような大きな社」だったんです。
出雲大社 境内案内
皆さん、神無月ってご存知ですよね。10月は神無月、神様が神社にいないんです。どこに行ってるかといいますと ”出雲大社” に来てるんです。全国の神様が会議のために出雲大社に来るんです。…だから、出雲で10月を ”神在月” と呼んでいます。
神代の時代から、あったと言われる、出雲大社をご紹介いたします。
「赤丸:下から、祓社・祓橋・松の参道・手水舎」「赤⇒:島根県立古代出雲歴史博物館」「青枠:ムスビの御神像」「黄枠:拝殿」「緑枠:八足門」「青丸:本殿」「黒丸:西側遥拝所」「ピンク丸:素鵞社」「緑丸:東西十九社」「青⇒:神楽殿」
出雲大社 祓社(はらえのやしろ)
鳥居を入ってすぐ右手に祓社があります。
御祭神は…
瀬織津比咩神(せおりつひめのかみ)
速開都比咩神(はやあきつひめのかみ)
気吹戸主神い(ぶきどぬしのかみ)
速佐須良比咩神(はやさすらひめのかみ)
…の祓戸四柱神(はらえどよはしらのかみ)が祀られていまして、まずは、こちらに参拝する事によって、祓いを行って本殿・拝殿に行ってください。
つまり、本殿に行く前に先に参拝するのが祓社です。これが決まり!
読み方は「はらえのやしろ」が正解で「はらいのやしろ」でも良いらしい。
出雲大社 島根県立古代出雲歴史博物館
前項で説明した「大量の刀剣」、「出雲大社境内から出土した巨大な柱」が展示されています。
天皇陛下もご来館された博物館です。下記写真で陛下がご覧になっているのは、1階ロビーに展示してある「出雲大社境内から出土した巨大な柱」です。
入館料:620円
駐車場:有り(無料)
出雲大社 ムスビの御神像
銅鳥居の手前右手に置かれているのが「ムスビの御神像」と「大国主命像」です。何を意味しているかといいますと…。(結構、複雑ですよ…笑)
大国主は、少彦名命(スクナビコナノミコト)と一緒に国造りをするんです。少彦名命は小さな神様、一寸法師の原型といわれています。
その少彦名命が途中でいなくなってしまいます。すると大国主は、「一人でどうしよう」と悩みます。その時に日本海、海から光り輝く神の大物主神(オオモノヌシノカミ)がやってきます。
大国主:「貴方様はだれですか」
大物主:「お前自身だ…自分を信じろ…そしてこの光の玉を三輪山に祀れ、それで国造りは完成する」
…という事で出雲の国は完成したのです。
※という事で「三輪山」が最古の神社だとも言われています。
出雲大社 拝殿
そして拝殿に参拝、参拝方法…
普通神社は、二礼二拍手一礼
出雲大社は、二礼四拍手一礼
…なんです。
他には、大分の宇佐神宮、新潟の弥彦神社などが二礼四拍手一礼となっています。
出雲大社 八足門(やつあしもん)
出雲大社は、拝殿で参拝して終わりじゃないんです。拝殿の奥に八足門がありまして、ここから先が本殿となりまして、八足門で二礼四拍手一礼の参拝を行ってください。
八足門の内側が出雲大社のご本殿となり、すなわち御祭神である「大国主大神」がご鎮座されています。通常は八足門の奥には入ることはできませんが、祭典などや、ご祈祷を受けた人のみ入ることができます。
この参拝で終了と思ってはいけません。
本殿では西側遥拝所から再拝礼
南向きが正面の本殿ですが、な、なんと御祭神・大国主大神は西向きに造られた内殿(御神座)に西の方角を向いて鎮座されているのです。
それで、本殿での正しい拝礼の順序は、まず南向きの八足門の前で2礼4拍手1礼の後、瑞垣と呼ばれる塀に沿って摂末社に拝礼しながら進み、瑞垣西側の角を曲がった場所に立っている遥拝案内板の前で再度2礼4拍手1礼するのが正しい方法。
出雲大社 大社(おおやしろ)
現在の本殿は高さ24m。以前は48mありました。その柱の基礎部分が平成12年~平成13年の発掘調査で出てきたのが、八足門前の広場の「赤い丸」です。
3本1組で組み上げられた柱の上に48mの高さの本殿を作ったんです。
実際に出てきた柱は、「島根県立古代出雲歴史博物館」1階ロビーに展示されています。
(古代 出雲大社想像図)
出雲大社 西十九社 東十九社
十九社は、東西にありまして出雲大社の末社の神様を祀っています。
それと10月の神在月になると、出雲には全国の神様が会議のために集まります。その際の宿泊先となるのが、この東西の十九社になります。神様のビジネスホテルみたいなものでしょうか。
東西に沢山の神様が祀られていますので、参拝しておくと御利益は最強です。ご祭神は、八百万の神。10月の神在月だったら、全国の神様に挨拶が出来るわけです。
出雲大社 日本一の大しめ縄
せっかく出雲大社にお越しになったからには、お間違えなく大しめ縄に出会っていただきたい。大しめ縄は神楽殿にあり!
重さは5トンもあるそうです。
太いだけじゃなく、巻き方に注目…
普通は、右が太くて左が細い
出雲は、左が太くて右が細い
…出雲だけが縄の巻き方が逆なんです。
何で逆なんでしょう?
出雲大社ホームページに寄りますと…
「神社神道では、神様に向かって右方を上位、左方を下位としますので、一般的に神社では上位の右方が綯い始めで、左方を綯い終りとする張り方となっております。
しかし出雲大社では古来、他の神社とは反対に神様に向かって左方を上位、右方を下位としていました。それを示す事例を挙げますと、御本殿内には、客座五神として「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)・高御産巣立日神(たかみむすびのかみ)・神産巣立日神(かみむすびのかみ)・宇麻志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)・天之常立神(あめのとこたちのかみ)」の五柱の神が祀られておりますが、尊貴第一の神たる「天之御中主神」が上位となる一番左に祀られております。また、江戸時代の祭事の記録では、神様へお供え物を進める際、上位のお供え物を向かって左へ、下位のお供え物を向かって右へ進める作法となっております。
このように、古く出雲大社では一般的な神社とは反対に、向かって左方を上位、右方を下位とする習わしがあり、よって注連縄を張る際には上位である左方が綯い始めで、右方を綯い終りとする張り方となっています。」
…何書いてあるのか、さっぱりわかりません…(笑)
ようは、”出雲大社の大しめ縄だけ逆なんですよ” …って覚えてればいいと思います。
出雲大社 素鵞社(そがのやしろ)
御本殿北側に、出雲大社の境内でも最大、最強のパワースポットがあります。それが素鵞社です。
御祭神は、須佐之男命(スサノオノミコト)。皇室の先祖神である太陽の神、最高神の天照大神の弟になります。
荒ぶる神としても有名であまりの乱暴に高天原を追放され、地上に落とされて、ヤマタノオロチを退治した神様です。
大国主は地上最高の神様ですが、須佐之男命とどちらが強いかといいますと…須佐之男命が指先で弾くぐらいのもの、まったく相手になりません。(須佐之男命は、大国主の6代遡った祖先です)
そのスサノオの御利益ですから最強です!
で、この素鵞社では、「有名なお砂をいただくことができるのです」…が、事前に準備が必要です。
1.稲佐の浜に行き、お砂をいただきます。距離は、出雲大社から1キロぐらいでしょうか。
そこに弁天島があります。島というよりは岩です。
岩の上に鳥居と殿舎があります。
御祭神は、豊玉毘古命(トヨタマヒメノミコト)で、初代天皇の神武天皇のおばあちゃんになります。安産、子孫繁栄、農業守護などのご利益を授けてくれる神さまです。弁天島の豊玉毘古命にご挨拶(お参り)し、場所の指定はないので足元のお砂をいただきましょう。
2.次に出雲大社へ参拝です。
ここで大事になってくるのは、”三度の禊” …
①祓社
②祓橋
③松の参道
…での三度の禊を行うということ。
・勢溜の大鳥居から入り、祓社で穢れを落とし、一度目の禊
・下り参道の坂を下りきると、祓端(はらえのはし)を渡る、神聖な鶴山から流れる素鵞川(そががわ)によって穢れを落とし、二度目の禊
・松の参道を通り、三度目の禊
…手水舎で一般的な作法を行い、穢れを落とします。
この三度の禊を行うことにより、完全に穢れが落ちて、境内に入ることを許されます。
・境内に入り、拝殿に参拝
・八足門から本殿に向かって参拝
・十九社に参拝
…これで、本殿裏の素鵞社へ向かいます。
3.素鵞社に参拝後、お社の左横側から入っていくと、社殿の床下に木箱に入ったお砂があります。
木箱の中に稲佐の浜のお砂を奉納して、代わりに置いてあるお砂をいただきます。
持ってきた砂よりも少なく持って帰るのがマナー。
その後は、西側遥拝場で西向きの大国主大神さまに参拝となります。
手順を守ってお砂をいただけば、御利益間違いなし。
素鵞社の砂には厄災・招福のご利益・効果があるそうです。
どうやって使うかといいますと…
1.お守り袋に入れてお守りとして持ち歩く
2.神棚があれば神棚へ
3.素鵞社の砂には、土地の守護、清めや厄除け、魔除けのご利益・効果があるそうです。素鵞社の砂は、地鎮祭などにも使われるそうで、家の土地の四隅に埋めることができる方は四等分してそのまま埋めると良いと思います。四隅に撒くだけでも構わないでしょう。
4.アパートや集合住宅で周りに撒くのは難しいという方は、玄関や部屋の四隅に小皿や小瓶などに入れて置けば、住人の方を守ってくれることでしょう。
5.田畑にまいて清めると作物がよく育ちます。
6.車にかけると交通安全
ようは、決まりはありません…何といっても、最強の神、須佐之男命の御利益ですから…須佐之男命は細かいことにこだわらないと思います。
それと最後に…
素鵞社(そがのやしろ)の裏に回ると岩があります。その岩に触れると須佐之男命がパワーをくれます。準備が出来ない人は、岩だけでも触って帰りましょう。
管理人の独り言
出雲大社は、伊勢神宮と並ぶ格式の神社です。古事記、出雲神話とともに歩んできた神社が出雲大社なんですね。
で、国譲りのクライマックスで天照が送込んだ鹿島神宮の主祭神である、最強の武神、建御雷(タケミカヅチ)が管理人は大好きなんです。圧倒的な強さの建御雷なんですけど自分の武力を見せつけるんですが、武力を行使しない。
つまり、戦闘になる前に大国主の息子は降参してしまうんです。
建御雷は、強いけど乱暴者ではない。
思慮深い理性を持っている最強の武神… ”優しいんです” …。
その点、須佐之男命(スサノオノミコト)は、荒ぶる神で強いんですけど、乱暴者で粗野なところのある神様なんです。
でも、須佐之男も相当強いと思うんですよね。何といっても皇室の祖先神である、最高神の天照大神の弟なんですから。
果たして…
須佐之男VS.建御雷
…が実現したら、どちらが強いのか、とか考えたら、ワクワクしませんか?…「そんな事でワクワクするのはお前だけだ」って皆さんの心の声が聞こえてきました。
という所で、今回の出雲大社のお話しは終了といたします。
ありがとうございました。
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