旅cafe

旅行会社の元社員が書く旅日記です…観光情報、現地の楽しみ方、穴場スポットなどを紹介します。

ギョーザ ”パリパリ ジューシー”の秘密

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アインシュタインの眼
ギョーザ ”パリパリ ジューシー”の秘密

肉汁が溢れるジューシーな”あん”…パリパリの皮、相反する要素をあわせ持つ、これが餃子の決め手なんです。

餃子作りの工程
1.具材を混ぜる
2.皮で包む
3.焼く

東京都内にある餃子専門店、ここに味にうるさい男たちを黙らせる二人の達人がいます…安里正、馬道仁…達人の技に迫ります。…今回も、NHK斎藤アナに参加してもらい達人と比べてみます。

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1.達人の具材を混ぜる技
具材は、豚ひき肉、白菜、ニラ…調味料は、塩、うまみ調味料、ごま油、黒コショウ、白コショウ、しょうが、と特別なものは使っていません。

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多くの人は、斎藤アナと同様に、ひき肉、野菜、調味料を一緒に混ぜます…これは、×・NG・駄目なんです。

達人は、ひき肉と調味料だけ、この時点では野菜は入れないのです…肉がペイスト状になって行きます…混ぜる事2分、その後野菜を加え更に1分間混ぜてアンが完成…いったいなぜ全ての材料を一度に混ぜないのでしょうか?

デジタルマイクロスコープを使ってミクロレベルで観察します…達人の混ぜたアンの拡大映像(左)、粘り気のある白い物質で覆われています。…対して斎藤アナの方には見られません。

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更に達人が混ぜたあんと斉藤アナが混ぜたあんをしばらくおいてみると斉藤アナのアンからは、水分が染み出てきました。…達人のアンに見られた白い物質と何か関係があるのでしょうか?

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日本獣医生命科学大学講師 佐藤秀美さん
「達人の薄い粘りのある膜は、肉から溶け出たアクトミオシンの性質です…アクトミオシンはスポンジのような状態になっています…肉と野菜から出てきた汁が構造の中に閉じ込められるのです」

肉に塩などの調味料を加えると様々なタンパク質が溶け出します…それらが結合した物がアクトミオシン、中に空間があり、スポンジのような構造をしています。…この中に肉汁や野菜から出る水分が吸収されるためジューシーさが保たれるのです。

最初から野菜と一緒に混ぜ合わせると塩分の多くが野菜に吸収されてしまいます。その為、アクトミオシンが出来にくくなってしまうのです。

そこで肉と調味料だけを先に混ぜるのです…これがジューシーさを保つ秘訣だったのです。

辻調理専門学校 中国料理講師 吉岡勝美さん
「ポイントは、いかにアクトミオシンを出すかです…達人は、単に混ぜるだけでなく、手のひらで肉を押しつぶすように混ぜています…そしてペイスト状になるまで混ぜるのです」

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2.皮で包む
1日に1000個の餃子を包む達人、かなりのスピードかと思いきや一つの餃子に10秒、相当な時間をかけて包んでいます。…同じアンで斉藤アナにも作業してもらいました。…しかし、焼き上がりを比べるとジューシーさがまったく違います。

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この違いはどこから来るのか達人と斉藤アナの違いは?…CTスキャンを使って内部を比べると、白い部分がアン、黒く見えるところが空洞です。

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日本獣医生命科学大学講師 佐藤秀美さん
「この空洞が原因です。…中に入った空気が熱で膨張して抜けていく、そこから肉汁などの旨み成分も一緒に抜けてしまう…だから斉藤アナの餃子は硬くてパサパサなのです」

アンの包み方のポイントは、しっかりアンをヘラで押し込んでアンの中の空気を出してしまう事が大切、これがアンのジューシーさを保つ方法なのです。

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3.焼く
餃子を作る最後の工程、焼くです…表面をパリパリに仕上げる達人のテクニックに迫ります。

一般的な餃子の焼き方は、熱したフライパンに餃子を並べ、軽く焼き目を付けます…その後、水を注ぎ蒸し焼きにします…仕上げに小麦粉を溶いた水を入れます。

一方、達人の餃子の焼き方はというと、直径40センチの大きな鉄製の鍋です…それを熱するのは強力なバーナー、火力は一般家庭の3倍、3万kcalです。

では焼きの手順です。
1.小麦粉を溶いた水を大量に入れます。(水100ccに対し小さじ1杯の小麦粉)
2.泡立ちが収まったら餃子を並べ蓋をして蒸し焼きにします。(5ミリほど間隔を開ける)

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3.水が蒸発したら大豆油を注ぎ、焼き目を付けたら完成です。

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一般的な餃子の焼き方と達人の違いは、小麦粉で溶いた水で蒸し上げる違いです…理由は、小麦粉で溶いた水は、泡を発生させます…蒸す過程で泡が餃子全体を包み込むので、適度に水分を含みしっとり仕上がるのです。

対して水だけで餃子を蒸すと泡が立たないので餃子の上部がパサパサになってしまうのです。…つまり、ポイントは小麦粉を溶いた水で蒸すことです。

最後は、餃子の皮を焦がさずパリパリにするテクニックですが、ポイントは焼きを止めるタイミングです…蒸し終わって油を注ぐと、ハネの部分も焼けて色が付く、そこで過熱をやめればいいのです…素人でも予測はつくのです。

もうひとつ大きなポイントは、強い火力です…家庭で達人の店の火力は不可能です…そこですき焼きなべで餃子を焼く方法をお薦めします…鉄製のすき焼きなべは、高温で更に均等な温度をナベ底に保つ事が出来るのです。

それでは、実践です…きっと達人のような、中はジューシー、皮はパリパリの餃子が焼けるはず…あとは練習あるのみ!!