NHK 100分de名著
デュマ ”モンテ・クリスト伯”
第1回 読みだしたら止まらない その秘密
連続ドラマって次がどうなるか気になりますよね…書店にズラリと並ぶコミック誌の連載中の漫画も次気になる展開で読者の心を掴みます。…実は、こうした手法の元祖ともいうべき小説が170年前に書かれていました。
それは、『モンテ・クリスト伯』…19世紀のフランスを舞台にした長編小説です。作者は文豪、アレクサンドル・デュマ(1802-1870)…友に裏切られ、いいなずけを奪われ、見実の罪で14年間牢獄に閉じ込められた主人公・エドモン・ダンテス。
思わぬ幸運から巨万の富を手に入れ、知力、財力の限りを尽くして復讐を遂げる…息もつかせぬ展開で読者を引き込みます。
読みだしたら止まらない、元祖エンターテイメント小説を読み解きます。
司会 武内陶子
「『モンテ・クリスト伯』というとなじみが無いかも知れませんが『岩窟王』はどうでしょう…日本語版で付けられたタイトルが岩窟王なんです。…原作の『モンテ・クリスト伯』は世界中で最も読まれているフランス文学の本なんです。…指南役は作家・佐藤賢一さんです」
作家 佐藤賢一(『王妃の離婚』で直木賞受賞)
『… 文庫本で7冊というボリュームですが読みだすとスイスイ読めてしまいます。一度読みだすと止まらなくなる、現代のエンターテイメントの原点となるような作品です。…』
「モンテ・クリスト伯」
前半のあらすじ
舞台は1815年のフランス、船乗りのエドモン・ダンテスは愛する女性メルセデスとの婚約パーティーの最中、身に覚えのない罪で突然逮捕されます。
恋敵フェルナンと同僚ダングラールが「ダンテスはナポレオンに味方する反乱者だ」 と密告したからです。…ダンテスを取り調べたのは検事代理のヴィルフォール。ダンテスの話を聞き、無実に違いないと思います。
しかし、ダンテスが持っていた手紙によって、反乱に自分の父親が加わっている事を知ると、口封じのためにダンティスを牢獄に送り、二度と出られないようにしたのです。
ダンテスは牢の中で知り合った神父から、どうして自分が無実の罪で捕まったのかその理由を知らされ、フェルナン、ダングラール、ヴィルフォールへの復讐を誓います。
逮捕から14年後、ダンテスは脱獄に成功、神父から教えてもらったモンテクリスト島で財宝を見つけ億万長者となるのです。…財力を元にパリ社交界に颯爽とデビューしたダンテスは、モンテ・クリスト伯爵と名乗ります。
巨万の富と知力を武器にダンテスの復讐の幕が切って落とされました。
作家 佐藤賢一(『王妃の離婚』で直木賞受賞)
『…エンターテイメントの原型を作った…ここにつきますね…』