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ヒューマン なぜ人間になれたのか 第4章 そしてお金が生まれた

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NHKスペシャル
ヒューマン なぜ人間になれたのか 第4章 そしてお金が生まれた

第3章 「大地に種をまいたとき」では、農耕によって領地、縄張り、が生まれ部族同士の争いが生まれた話をしましたが…第4章、最後に登場したのがお金、私たちはお金のために必死で働く、いくらあっても足りないと感じる。

けれど僕たちは、見知らぬ人にお金をあげることもある…人間を欲望に追い立てると思えば人間同士を結び付ける。

いったいお金ってなんだ?


お金以前の世界とは…

赤道直下の国カメルーン、首都から車で3日、舗装もされていない道をひたすら進むとバカ族という狩猟採取民族の集落にたどり着きました。…ここに世界中の研究者が注目しているのです。

タイムスリップ、お金がまだ普及していなかった世界への訪問だからです…小さな集落、4世帯25人が暮らしています。…普段の食料は自給自足、狩りの腕が頼りです。

獲物の解体をするのは仕留めた人、作業を見ていると不思議な事に気づきます…細かい部位に至るまで徹底した分けっぷり、これをキッチリ平等に配るのです。

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仕留めた人も分け前は、みんなと一緒なのです…更に獲物を配る時の事、さぞかし感謝されるかと思いきや、全員まったくの無表情、お礼の言葉もないのです。

京都大学 人類学 市川光雄 名誉教授
「分け合うのが当然だという規範のようなものによって分配が支えられている…物を貯蔵せずにその日暮らしで生活している人々の生活というのは、非常に不安定なもので自分が取れなかった時は他の人が助けてくれる…そういう社会だからお金が無くても暮らして行ける」

「不安定な暮らし故、日々分かち合う…その最も単純なルールこそ、何でも平等…貯め込んで残そうとすると陰口の対象となる…それが恐ろしくて分配してしまう…つまり富が蓄積しにくい社会です…お金が無い社会では、他人に抜きんでて成功する人は出てこないのです」

自給自足の暮らしは、徹底した横並びの社会、お金が登場する以前は、世界中がそうでした。


メソポタミア古代文明
人類初のお金が登場

農耕が始まったのは紀元前1万年、それから6000年たって祖先たちは社会の規模を一変させていました…シリアのテル・ブラクは世界最古の都市、人口1万人、ここでは世界最古のお金が発掘されています。

お金と言っても同じ大きさの鉢、器です…労働者は自分の鉢に麦を入れてもらい給料としたのです…つまり麦が現在のお金に相当するものだったのです。

お金が誕生する以前の祖先は、物々交換により必要なものを得ていました…自分の欲しいものが必要な場合、自分で持っている人を探さねばなりません。…もし見つかったとしても自分の持っているものが相手の必要なものとは限りません。

しかしお金の登場で事態は一変します…人々は、麦をお金として利用する事にとり、取引は、物々交換の時代より飛躍的に広まり盛んになって行ったのです。


交換は
人間だけが有する特徴

人間に一番近い動物・チンパンジーで実験、…リンゴを食べているチンパンジーに『葡萄と交換して』とお願いしてもチンパンジーは知らんぷり…応じてくれたのは2%だけ。

葡萄が嫌いなのかと考え、リンゴとブドウの両方を選ばせると8割のチンパンジーがブドウを選んだのです。

ジョージア州立大学 文化人類学 サラ・ブロズナン博士
チンパンジーは、もし相手が自分のものを持ち逃げしても『あいつはひどい』と訴える事は出来ません…だからリスクを冒してまで交換しないのです…信頼なくして交換は出来ません…交換出来る事が人間と他の動物を分けた決定的な要因だったのです」


お金が歴史を
どう変えた?

紀元前3200年、メソポタミアの都市からは、様々な職業を示す石板の古文書が見つかっています。…そう交換が盛んになった都市では多くの職業が生まれていたのです。

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その数120種類もの職業、それぞれが得意分野で腕を磨き、その成果をみんなで交換し合う時代が始まっていたのです。

その効果たるや絶大でした…その後、食糧生産は3倍に延びました…その原動力は職業の誕生です…農業生産の現場にも技術革新が起こったのです。

農耕が始まった後も緩やかだった人口の増え方は、都市が成長を始めるとともに急カーブを描いてゆきます。…メソポタミアでは次々と都市が誕生しました…麦のお金によってかつての横並びの社会は一新され目覚ましい発展が始まっていたのです。

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アテナイ
コインの誕生

地中海に面した小さな国・ギリシャ古代ギリシャ時代ここには人口25万人の巨大都市、アテナイがありました。

アテナイが生みだしたもの…哲学、民主主義、演劇、そしてコインです。…紙のお金に先だって金属のコインが広く流通し始めたのです。

アテナイのコインには人々の信頼を獲得する仕掛けがありました…ほぼ100%を誇る銀の純度を保証したのです。

アメリカ・ホーリークロス大学 歴史学 トーマス・マーティン博士
「もしコインの代わりに羊を差し出されたとしてその羊が健康かどうかわかりません…いままで会った事のない人とのやり取りは困難です…その人が信頼できるかどうかわからないからです。でもアテナイのコインを出されれば見知らぬ人でも信頼できます…コインは16グラムの純銀だと保証されているからです」

コインは交換に必要な信頼を保証するものとして一気に広がりました…こうして以前とは桁違いの人々がコインを通じて広がったのです。

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更に人々の心に影響を与えた大きな特徴、…

アメリカ・ホーリークロス大学 歴史学 トーマス・マーティン博士
「コインとそれ以前のお金との一番大きな違いは、コインは永遠の価値があるという事でした…いつかわ腐ってしまう麦などと比べて永遠の価値を持つコイン、人々は不確かな世の中で不安定な人生を生きていました…そこに現れたのがいくらでも貯められるコインです。…安定した未来が実現するという希望が始めて人間の心に芽生えたのです」


お金は
個人を作った

イギリス・エクセータ大学 歴史学 リチャード・シーフォード博士
「お金は、集団から切り離された個人を作り出したのです…のし上がるのも没落するのも個人の責任、…お金があればそれまでの人間関係は必要ありません。…それは集団からの孤立ではありますが解放でもあるのです」


ついに誕生
現代のお金
アテナイのコイン、それは果てしない繁栄をもたらすかに見えました…しかしコインの源である銀は100年で掘り尽くされたのです。…発展の原動力であるコインを失ったアテナイは衰退、…しかし、この事が現代のお金を生み出す原動力になったのです。

アテナイ没落の後、とって代わったのが古代ローマです。…繁栄の源は変貌したお金でした。
紀元1年 98%(コインの銀の含有量)
250年 50%
260年 40%
270年 2%
どんどん下がって行きます…貴重な銀を薄めて行く事で大量のコインを生産したのです…純度は下がってもお金の価値は変わらないというカラクリ、この時こそ私たちになじみの深いお金が生まれた瞬間でした。

元々コインは高い品質を保証する事で信頼を勝ち得ていました…今度はその信頼を逆手にとって一つの軌跡を生み出したのです。…人類が架空の富を築く事を可能にしたのです…もはや発展への欲望を制限するものは無くなったのです。

今、世界中で生み出される金融資産は1日8兆円、地球上の済み済みまで広がっています。…明りに埋め尽くされた都市、それは一人一人がお金によって未来を切り開いてきた結果なのです。

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欲望の暴走を
抑える仕組み

お金は、僕たちに発展をもたらした…でも、それだけってわけには行かなかった。たくさん持とうという争い、持っていないという不満、お金がもたらされた時、僕たちは、試される事にもなったのだ。

しかし、自分が儲かるより、差が無くなる事を喜んだ僕たちの脳、…自分が得した分、損した相手の姿を見ると僕たちの中で分かち合う心が動き始める。

アメリカ・ラトガース大学 心理学 エリザベス・トリミコ博士
「脳がこうした反応を見せるのは、長い時間をかけて協力し合う心が進化してきたからでしょう」


お金と私たち
その未来

そうだ…祖先たちは、いつも目の前の相手と分かち合いながら生きのびてきた。その間にこの心は育まれたのだ…でも今の僕たちは目の前の人以外ともつながって生きている。

この先、そんな生き方に合うように脳は進化するのだろうか。

たとえば時を超えて決して合う事の無い未来の人にまで思いを馳せられるのだろうか…世界の人口は2050年には90億人を突破する。

僕たちの時代に大量消費が続いて、僕たちの時代に環境破壊が進んで未来にツケが回るとしたら、それは不運だったと済ませられるのだろうか。

その答えはわからない、でも僕たちは、世の中を変えてきた生き物だ…だからこれからも世の中を変える事ができる生き物なのだ。