NHK BS世界のドキュメンタリー
核兵器の脅威に備える テロとの戦い
”核兵器”それは世界一危険な兵器です・・挑戦的な国々が今も必死でこの兵器を開発しています・・一方、最悪の事態に備えるアメリカは、テロリストが核兵器を持つ事を警戒しています。
テロリストはいったい
1.核兵器を作る事が可能なのか
2.核兵器の原料をどう調達するのか
3.そもそも核の管理の現状は
まず核兵器とは、どう言う仕組みで・・どの位の威力か・・どんな種類があり・・どうやって作るのかを検証してみましょう。
簡易な核爆弾でも都市を丸ごと消滅させるだけの威力があります・・爆発で爆心地周辺は完全に消滅します・・爆心地から半径1.6キロ圏内の建物は修復不能となり、空から降る放射性物質は160キロまで達します。
人々は被ばくによる命の危険を避けるため数週間もの間、屋内での非難を強いられます・・場所によっては数カ月、数年もの間、放射能汚染が続きます。
この恐ろしい力は、想像もつかないほど小さな物質、原子が放出するエネルギーです・・核爆弾を作ろうと言う人間は、その原理に精通していなければなりません。
国家で危険な核兵器開発をしている北朝鮮、先だっての核実験で起こした地震はM4強、この数字から爆発の規模が推定できます。
M4強は、1キロトンに相当しTNT火薬の1000トン分に相当します・・核兵器だと言う北朝鮮の声明を裏付けるのに十分な威力です。
それはNYのタイムズスクエアーとその周辺のビルを破壊し、800m離れた地点では露出した肌にやけどを負います・・5キロ離れた場所では閃光によって失明するという恐ろしいものです。
しかし1キロトンというのは核爆弾でも小さいもの北朝鮮の核爆弾で壊滅的被害を受けるのは、半径わずか135m圏内です・・つまり北朝鮮は完全な形での核爆弾を作れなかったようです。
核分裂爆弾は基本的に2種類
1.ウラン原爆
2.プルトニウム原爆
原料が手に入りやすいのはプルトニウムです。プルトニウムは原子炉で製造されるので原子炉を持っている国なら入手可能です。
北朝鮮はプルトニウム原爆を選びました・・プルトニウムは手に入れるのは比較的楽ですが爆弾製造には高い技術が必要なのです。
プルトニウム原爆の作り方は、球形のプルトニウムを火薬で包みます・・加薬には全てのエネルギーが内側に集まる「爆縮」が起きるような仕組みが組み込まれます。・・これが難しいのです。
水風船を押し潰そうとすると水風船は指の間から飛び出してしまいます・・爆縮させるには内側に向けて均等に力を加えなければなりません・・この技術が難しいのです。
一方、ウランを原料とする原爆は、複雑ではありません・・臨界に達しないウラン235を砲身の端と端に置き、一方の塊をもう一方の塊に瞬時にぶつけて合体させる事によって臨界量を超えさせるのです。
テロリストが製造を試みるのは製造が簡単なウラン原爆です・・精製したウランを手に入れる事が出来ればテロリストはウラン原爆を作れるのです。
しかし簡単には入手できません・・ウランは地中の金属鉱石から採取される天然元素です・・核爆弾を作るのに必要なウラン235は、天然ウランの中に1%以下しか含まれません・・残りはウラン238です。
連鎖反応を爆弾内で生じさせるには、反応を阻害させる不純物のウラン238を取り除かなければなりません・・その為に必要なのがウランの精製です・・核分裂の連鎖反応を起こすウラン235を濃縮して取り出すのです。
核爆弾を作るには90%まで濃縮されます・・ウランを気化させて遠心分離機にかけます・・この設備は国家的プロジェクトとして行うほどの資金と技術が必要なんです・・テロリストには不可能です。
しかしテロリストが高濃縮ウランを手に入れるのに核開発施設は必要ありません・・すでにいくつかの国が濃縮ウランを持っています・・彼らはそれを奪えばよいのです。
ロシアだけでも6万個の核爆弾を作るのに十分な核物質が存在します・・その半分がしっかりした警備も追跡システムもないまま保管されているのです・・他にも40カ国が兵器に使える核物質を保有しています。
その一部は研究施設にあり、研究施設にある核物質は、盗難や闇取引に対し無防備です。2007年スロバキアでの事です・・450gの高濃縮ウランを隣国ハンガリーへ持ち込もうとした容疑者3人が国境近くで逮捕されました・・その出所は間違いなく旧ソビエト内の国だと見られています。
■つまりアメリカも含め世界は、膨大な予算をかけてテロリストから核兵器の材料となるウラン235を守っているのです。