旅cafe

旅行会社の元社員が書く旅日記です…観光情報、現地の楽しみ方、穴場スポットなどを紹介します。

時間旅行(タイムトラベル)は可能か? 「ホーキング博士の宇宙」

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NHK COSMIC FRONT コズミックフロント ~発見!驚異の大宇宙~
ホーキング博士の宇宙」・・時間旅行(タイムトラベル)は可能か?

 今回の舞台はイギリス・ケンブリッジ大学ニュートンダーウィンなど多くの知の巨人たちを送り出してきた場所です。

ここに現代を代表する物理学者がいます・・スティーブン・ホーキング博士、宇宙を支配する法則を解き明かす事に人生を捧げています・・相対性理論量子力学を結びつけた量子重力論で宇宙に対する理解を飛躍的に高めました。

地球と人類の未来についても積極的な発言を続けています…
「人口の爆発的増加で資源を使い果たそうとしている・・人類が生き残る唯一のチャンスは宇宙に進出することだ」

・人類はどこに向かっているのか
・時空の本質とは何か
・万物を支配する法則はあるのか

究極の問いに挑み続けています・・そのホーキング博士が今回取り上げる難問、”時間旅行は可能か?”

人類が時間と空間の法則をマスターし過去と未来を思いのままに行き帰する日は来るのでしょうか・・現代を代表する知性・ホーキング博士が私たちを時空のコズミックフロントに招待します。

スティーブン・ホーキング博士
「hello・・私の名はスティーブン・ホーキング・・物理学者、天文学者、そして夢想家です・・身体は思うようになりませんが頭の中は自由です」

「かつて科学が時間旅行を扱う事はタブーで私もこの話題を避けていました・・しかし今はストーンヘンジを立てた大昔の人達のように時間の事で頭がいっぱいです」

「タイムマシンがあればマリリン・モンローに会いに行けるのに・・ガリレオと一緒に天体観測なんてのも良いですね・・未来の彼方まで旅をして宇宙の終わりまで見届ける旅をする事も出来るのです」

「時間旅行の可能性を探るには、この世界を時間を含めた4次元として理解しなければなりません・・といっても難しく考える必要はありません」

「物体には3つの次元があります・・縦・横・高さです。その3つの長さに「時間」というもう一つの長さが加わります」

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この石は数千万年という時間の長さをくぐりぬけ今ここにあります・・あらゆるものには空間の長さに加え、時間の長さという4つ目の長さがあるのです・・その中を自由に行き来する事、それが時間旅行なのです」


Front1 ミクロ世界のタイムトンネル
Front2 過去への時間旅行

この後は、チョット難し過ぎるので要点だけにします…時空の隙間に存在する極めて小さな抜け穴、それをワームホールといいます・・この世の中には完全な平面は存在しません・・壁、机、テレビなどもミクロの世界で考えると穴だらけ。

分子よりも小さく、原子よりも更に小さい世界、そこは量子といわれる世界です・・ここにワームホールがあるのです。

ワームホールは時空にできた虫食い穴、時間と場所を別の時間と場所につなぐ小さなトンネルです・・穴の大きさは1㎝の1/1兆よりも更に小さいものです。

このワームホールを大きくする事は困難であり、パラドックス、フィードバックという問題も解決する事は不可能です・・つまり、強引に結論を言いますと過去への時間旅行は出来ないのです。

スティーブン・ホーキング博士
「しかし、物語はまだ終わっていません・・時間旅行の可能性は、まだ残っています・・未来への時間旅行です」

2009年8月 ホワイトハウス・・宇宙の長年の研究の功績を認められ、ホーキング博士アメリカ大統領に表彰されました。

オバマ大統領
ホーキング博士は、難病にもかかわらず世界で最も偉大な科学者となりました」

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アメリカで軍治以外では最高の名誉とされる大統領自由勲章です…

1942年1月8日、イギリスでホーキング博士は生まれました・・幼いころから数学と自然科学に強い関心を示します・・そしてオックスフォード大学に入学、卒業後は宇宙物理学の研究の為、ケンブリッジ大学院へ進学します。

しかし、その直後に筋肉が委縮する難病と診断されました・・やがて合併症により、声を失います・・病と向き合いながらもたゆまず研究を続けました。

アインシュタイン一般相対性理論が破たんする特異点の存在を証明するなど若くして名声を確かなものにしました。

宇宙に対する理解を広めるため、日本を始め世界中で公演活動を行っています…

スティーブン・ホーキング博士
「人間よりも知的に進化した生命体も存在するでしょう・・残りの人生を研究に捧げます」

2009年、定年を向かえ教授の座を退いた後も研究者として大学にとどまり、宇宙の難問に挑み続けています。


Fronto3 未来への時間旅行

時間は川のように一つの方向に流れます・・私たちはその流れに運ばれてゆくだけです・・時間と川の流れには、もう一つ共通点があります。

場所によって流れるスピードが変わるという事です・・これが未来への時間旅行を可能にします・・この理論は100年以上前、アインシュタインによって提唱されました・・その考えは正しかったのです。

地上では時間が宇宙より遅く流れるのです・・地球の軌道上を回るGPS人工衛星には極めて正確な時計が装備されています。

しかし、その正確さにも係らず時計の針は毎日、3/10億秒早く進みます・・時計が進むのは、宇宙では地上より時間が早く進む事を表わしています。

見方を変えれば地上では宇宙より、時間の流れが遅い事になります・・その原因は地球の重力です・・アインシュタインの理論によれば重力は時間を遅らせる作用があります・・川の流れが地形によって遅くなるように時間も重力の働きによって遅くなるというのです。

この驚くべき事実が未来への時間旅行へと繋がるのです。

スティーブン・ホーキング博士
「地球から2万6000光年のかなたガスと星の雲に包まれた銀河系の中心に最も強い重力を持つ天体が存在します」

極めて巨大なブラックホールです・・太陽の400万個分の質量が生み出す重力、近づけば近づくほど強くなります・・光でさえその重力から逃れる事が出来ないため巨大な暗闇の塊のように見えます。

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このように巨大なブラックホールの回りでは時間がゆっくり進むのです・・まさに天然のタイムマシーンです。

この驚異的な現象を上手く利用できる日が来るかもしれません・・まずはブラックホールに飲み込まれる事無く、近くまで行く方法を考える必要があります。

宇宙船でブラックホールの少しだけ外側の軌道を狙うのがコツです・・速度と経路を一つでも間違えれば吸いこまれてしまいます・・完璧に計算できればブラックホールを回る軌道に乗る事ができます。

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宇宙船がブラックホールを一周するのを地球上の時計で測ると16分かかります・・しかし宇宙船の乗組員にとってはそれよりも時間はゆっくり過ぎます。

ブラックホールの強力な重力によって時間は地球の半分しか進まないのです・・地球では16分が過ぎているのにブラックホールの近くでは8分しか進まないのです。

宇宙船が5年間ブラックホールの軌道を回り続けると地球では10年が過ぎるというわけです・・宇宙船が地球に戻ってきた時、地球の人たちは乗組員よりも5年年老いているのです。

宇宙船の乗組員の立場からすれば未来の地球に帰った事になります・・しかし、この方法はかなり危険です・・2万6000光年かなたの銀河の中心まで移動しなければならない割には、それほど遠い未来には行けません。

幸い未来への時間旅行をするもっと現実的な方法が一つ残されています…

スティーブン・ホーキング博士
「未来への時間旅行は公園の散歩とは違います・・しかし、驚くほど単純な方法があります・・もの凄い速さで移動すればいいのです」


Front4 光速の秘密

もの凄い速さといってもその早さには限界があります・・宇宙には破る事が出来ない速度制限があるのです・・それは秒速30万キロメートル、光の速度です。

この速度を超えられるものは宇宙には存在しません・・これは科学的に証明された宇宙の大原則なのです。

光には誰から見ても速さが一定であるという ”光速度不変の原理” があります・・それゆえ光の速さを超える事は誰にも出来ません。

東京大学 数物連携宇宙研究機構 佐藤勝彦 特任教授
「光の速さは秒速30万キロメートル・・これは観測事実、実験事実です」

どのような状況でも光の速さは秒速30万㎞を超える事は無い・・この事実を基に時間の概念を根底から覆す理論が生み出されました。

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アルバート・アインシュタイン(1879年~1955年)

提唱したのは、あのアインシュタインです・・光の速度は常に一定であり、変わるのは時間の流れる速さの方だと言うのです。

この考えを説明する為、アインシュタインは、砂時計の砂の代わりに光を使う光時計を考え想像上の実験を行いました。

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光時計の天井からでた光が底に着くのが1秒とします・・これを2つ用意し、一つは固定したまま、もう一つは一定のスピードで動かし静止している人から観測します。

同時に光を放つと同時に光は床に届くと考えられますが実際は、動いている時計の光は長い距離を進まなければ床まで届きません。

光速度不変の原理からすれば動いている時計の光はここまで(上記画像)しか進みません・・固定した時計で1秒経った時、動いている時計ではまだ0.3秒・・つまり止まっている人から見ると動いている時計の時間はゆっくり進んでいるのです。

アインシュタインによるこの相対性理論は、時間はどこでも同じ速さで流れるというそれまでの物理学の常識を打ち砕いてしまったのです。

東京大学 数物連携宇宙研究機構 佐藤勝彦 特任教授
アインシュタインの偉大なところは時間というのは変わっていいのだ・・世界全体でどこでも時間は同じだという事は絶対ないのだと・・人が動く、早く動く、そういう事で時間はゼンゼン変わってしまう・・つまり光速度不変は原理であって、時間がどこでも一定というのは間違いなのです」

この宇宙では何ものも光より早く動く事は出来ない・・それでは光に限りなく近いスピードで移動するとどうなるのでしょうか?

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地球を一周する超特急列車の線路です・・この想像上の超特急で光の速度に出来るだけ近づいて行きましょう・・乗客は皆、未来への片道切符しか持っていません。

列車が加速を始めます・・すぐに地球を周回するようになります・・やがて光の速度に近づいて行きます・・地球を1秒間で7周できるスピードです。

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列車の馬力がどんなに強力でも物理の法則上、光の速度を上回ることは出来ません・・しかしギリギリまでスピードを上げると信じられない事が起こります。

列車の中の時間が地上に比べゆっくり流れ始めるのです・・ブラックホールの回りよりも更にゆっくり回ります。

この現象を利用すれば未来への時間旅行が可能になります・・走り続けた列車は、丁度100年後に出発した駅に到着します。

しかし乗客にとっては、たった一週間の旅でした・・列車の中では外の世界より時間がゆっくり流れていたからです。

列車から降りると、そこには出発した時と全く異なる世界が広がっています・・乗客たちは100年後の未来へ時間旅行をしたのです。

光の速度に匹敵する超特急列車、これに近い物がすでに作られています・・スイスのジュネーブにある欧州原子核研究機構(CERN)です。

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地下深くに一周25キロのトンネルがあり、その中を素粒子が流れています・・スイッチを入れると素粒子は一気に加速し、時速10万㌔ものスピードに加速、更にエネルギーを加えるとトンネルの中を1秒間に1万回以上回る超高速になります。

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光の速度の99.99%まで達した素粒子は、超特急列車のように未来への時間旅行を始めます・・トンネルの中を走るπ中間子といわれる素粒子は、通常は1/250億秒という短時間で崩壊してしまいます・・しかし光の速度ギリギリまで加速すると時間の流れが遅くなり、寿命が30倍も伸びるのです。

超高速で走る粒子が時間旅行を始めるのです・・こんなにも単純な事なのです・・未来に旅したければ早く、圧倒的に速く移動すれば良いのです。

そしてこの方法を試す一番良い場所、それは宇宙です…


Front5 究極の時間旅行

人類の歴史で最高速度を記録した乗り物は、アポロ10号です・・時速4万キロでした・・しかし、時間旅行をするには、その2万5000倍のスピードを出さなければなりません。

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この旅行にはとてつもなく巨大な宇宙船が必要です・・光のスピードに限りなく近づくためには膨大な燃料を運ばなければならないからです。

光の速度限界まで近づくにはエンジン全開でも丸6年かかります・・巨大な宇宙船は始めはゆっくりにしか進みません・・しかし徐々に加速し、そのうち長距離をあっという間に飛べるスピードに達します。

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1週間で海王星を通過、2年で光の速度の半分に達し、太陽系からどんどん遠ざかっていきます・・更に2年後には光の速度の90%に到達、船内の時間が地球よりも2倍ゆっくり流れるようになります。

更に2年、出力全開で加速し続けると宇宙船は最高速度に到達します・・光の速度の99%の速さです・・このスピードでは地球で1年が過ぎても船内ではたった1日しか過ぎません。

宇宙船は未来に向かって飛行しているのです・・時間の流れが遅くなる事で一生のうちに途方もない距離を旅する事が出来るのです。

銀河系の果てまでこの宇宙船ならたった80年で行けるのです。

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スティーブン・ホーキング博士
「この時間旅行の素晴らしい点は、宇宙の不思議を目の当たりに出来る事です・・場所が変われば時間に流れも変わる・・それが宇宙です」

「いつの日か人類は、物理法則をマスターし時間旅行を実現するでしょう…」

■確か宇宙戦艦ヤマトは波動エンジンによって光の速度まで達しましたよね・・それで16万8000光年彼方のイスカンダルまでワープを重ねて到達するんです。

■古代も雪も???・・まあ・・そんな事、どうでもいいわけですけどね・・・(笑)

 

 

 

 

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