WBS スミスの本棚
小説家 筒井康隆(77歳)日本を代表する作家と言われる筒井は、SFやファンタジーから社会風刺の効いたブラックユーモアまで作品は実に幅広く、映画化された作品も多い・・常に新しい小説の形を生みだす作家の原動力とは??
作家 筒井康隆
「とにかく人をビックリさせてやろう・・同じ事書くのが嫌なんです。今まで書いてない事をしてやろうと考えてるんです」
そんな筒井のお薦めの本は、ガブリエル・ガルシア=マルケス著『族長の秋』(集英社文庫)・・ノーベル賞作家、マルケスの書いた小説です・・中南米の架空の国で大統領として最高の権力を持つ独裁者の狂気と孤独。
大勢の子供を殺す事もためらわず、猜疑心にとらわれて大臣を惨殺し食べてしまいます。
『族長の秋』より
「松の実や匂いの良い野菜を詰め込んだ国防大臣がめいめいの皿に同じ分量だけ盛られたとき、大統領は食事を始めるよう命令した。諸君、腹いっぱい食ってくれ」
コロンビア出身のマルケスは、20世紀に中南米を支配した独裁者たちの姿をつぶさに見てきました。
『族長の秋』より
「彼は自分に愛の能力が欠けている事を悟り、この呪われた宿命をわびしい悪癖めいた権力への帰依によって埋め合わせようと努めた」
ムバラク、カダフィーなど権力に執着する独裁者の姿は、昔も今も同じなのかも知れません・・小説でマルケスは、「独裁者の最後を自らが死んだ事を喜ぶ民衆も聞かずに死んだ」 と締めくくっています。
■内容が衝撃的で過激な表現が沢山出てきますが、あえてこういうのを子供たちに「世の中、理不尽な事があるんだよ」、「というのを伝えるのも本の大切な役割じゃないでしょうか」 と筒井は言っていた。
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