旅cafe

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夢と野望のクリエーター 井原西鶴 好色と笑いのベストセラー作家

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NHK BS歴史館
夢と野望のクリエータ
井原西鶴 好色と笑いのベストセラー作家

時は元禄時代江戸幕府が開かれてから80年、天下太平、おりしも上方を中心にバブル景気が勃興、…町人を中心としたきらびやかで豪奢な元禄文化が花開いていました。

まさにこの時、文学史上空前のとんでもない小説が大阪から誕生します…『好色一代男』、生涯で4000人以上(女3742人、男725人)の男女を愛した主人公・与之助、男たちの夢と希望を乗せた奇想天外な小説は瞬く間に町人の間に広がり、大名も密かに読んでいたとか…その過熱した人気はまさに日本初のベストセラー小説の登場でした。

作家は、大坂の商人出身といわれる井原西鶴(1642-1693)、41歳で刊行した好色一代男を皮切りに僅か10年で30近くの作品を世に送り出しました。

経済小説:銭の世界に生きるたくましい商人たち
風俗小説:遊女たちのあでやかで健気な姿
武家小説:仕来たりや忠義に縛られた武士を笑い
諸国案内:諸国の珍妙な話をガイドブック風に紹介

これらの作品は、浮世草子と呼ばれ、大人気を博しました…まだ大衆小説というジャンルさえなかった元禄時代西鶴はどうやってベストセラー小説を生み出したのか…。

 

日本初のベストセラー小説!
好色一代男』とは

大商人の父と有名な遊女の間に生まれた主人公、彼は生涯で3742人の女性と725人の男性と戯れたという色恋の達人、与之助の7歳から60歳までを1年ごとに1話とし全54話、その破天荒な愛の遍歴は大きく3つに分かれます。

・若き日の恋 7歳~18歳
例えば…9歳の時、彼は屋根に上り、遠眼鏡で女中の行水を覗きます。更にちゃっかりその女中の寝室に忍び込んで膝枕してもらうという早熟ぶり

・諸国漫遊 19歳~33歳
与之助は19歳の時、あまりの好色ぶりのため、父親に勘当されてしまいます。そこで自由気ままに日本中を放浪、佐渡島に渡ろうと天秤棒を担いで魚を売り歩いたり、…紀伊和歌山への道中、船が嵐に遭って難破、命からがら岸に流れついだり、…はたまた東北山形では過去に契りを結んだ女性の生霊に苦しめられたりと様々な経験をします。

・遊女図鑑 34歳~60歳
与之助は34歳の時、父の遺産、銀2万5千(500億円)の莫大な遺産を相続、それを全て色事に使おうと決心し、あこがれの高級遊女たちと浮名を流します。実在の遊女・吉野太夫も登場します。スーパーアイドルだった遊女をはじめ、様々な男女の虚実入り混じったスキャンダラスな恋愛遍歴が繰り広げられました。

そんな好色一代男を読んだのは、本を買える余裕のある町人に限りませんでした…その頃、普及していた貸本屋によって多くの庶民に読まれて行きました。

早稲田大学 教授 中嶋隆
「好色であり、一代男…つまり子孫を残さない…朱子学倫理に反するわけです。しょうもないタイトルを付けています」

歴史家・作家 加来耕三
「とにかく突き抜けた作品です…日本は封建制の時代が長かったんです。それぞれの家を中心に生きていた時代に好色一代男は家の義務を果たさないんです。望まない、自分一人だけ良ければいい。…そして色事だけに専念するんです。反道徳的というか封建制そのものに反逆するというか…その突き抜けてしまったところに井原西鶴の面白さがあると思います」

作家 小林恭二
「それまでは宗教的なタブーとか倫理的なタブーがいっぱいあるんですが、むしろタブーを破る事で生き方を教えてくれる…こういうことは小説が近代まで果たしてきた役割なんですが…西鶴は一番最初にやった人物です」